はじめに
世界の市場で成長しているIoT、私たちの日常生活の周りにも増えてきました。
今回は、IoTの役割と求められる技術について、要約した形になりますが話をしたいと思います。
IoTとは何か?
IoTは「Internet of Things」の略で、日本語に直訳すると「モノのインターネット」となります。
自動車・家電・小型の機器類などに、温度・振動・電気信号の有無などを検知するセンサーを取り付け、センサーから送られてくるデータをインターネット回線で送って、クラウドなどに記録される仕組みを指します。
IoTが普及する以前には、M2M(Machine to Machine)というモノ同士を接続する手法がありました。ただし、こちらは機械同士がセンサーネットワークなどで相互に情報をやりとりするだけで、インターネットには接続しません。IoTはモノが通信機能を保有しているため、情報をインターネット経由で送受信することができます。
IoTが担う役割
現在、労働人口の減少・地方の過疎化の進行・地域社会の機能低下など、課題を多く抱えています。内閣府では、これまでの社会の課題を解決するために「Society 5.0(超スマート社会)」が提唱されました。 ※以下の文章は内閣府のHPより抜粋したものです。
Society 5.0とは
我が国が目指すべき未来社会の姿であり、狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く新たな社会です。第5期科学技術基本計画において、「サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会」としてSociety 5.0が初めて提唱されました。
このSociety 5.0を実現させるために必要なものとして、人工知能(AI)、ロボティクス、ビッグデータ、そしてIoTの技術革新が重要な位置づけとされています。
IoTはモノづくりの現場である製造業だけでなく、農業・医療・流通・教育などさまざまな業界において、技術革新が今後必要とされています。
IoTシステムに求められる技術
IoTはモノの部分に注目が集まりますが、システム全体を見るとさまざまな技術が必要なのが分かります。IoTシステムは、1つの技術で成り立っているのではなく、多くの技術が複合的に連携することで実現しています。
①デバイス技術
モノに相当するデバイスは、センサーで検知した情報を収集するため、一般的に組み込み系のデバイス装置を使います。これらのデバイス装置は屋外に設置して利用することが多いため、ハードウェア面では、雨や埃などの自然環境を考慮し、消費電力を考慮したバッテリーで運用するなど、モバイル電化製品で培ってきた技術が必要となります。
ソフトウェア面では、加速度センサー(例:スマートフォンの縦横位置を検出)・ジャイロセンサー(例:デジタルカメラの手振れを検出)をはじめとする目的に沿ったセンサーを使うため、そのセンサーを制御する技術が必要となり、さらにセンサーで検知したデータをインターネットで外部に送るため、アナログデータをデジタルに変換する技術やインターネットでデータを転送する技術が必要となってきます。
②ネットワーク技術
センサーで検知した情報は、分析で利用するためにインターネット上のクラウドなどに用意したサーバに一元管理されるのが一般的です。そのクラウドにデータを送信するために、通常は有線接続でおこないますが、センサーを搭載したデバイス装置は屋外に設置して利用することが多いため、無線接続でおこなうのが主となります。そのため、有線ネットワークはもちろん無線ネットワークの技術が重要になってきます。
③プラットフォーム技術
センサーデバイスで収集した情報は、一元管理してデータ分析などで活用していきます。
さまざまな場所に設置されたセンターデバイスの情報を、どこからでも簡単に1ヶ所に集中管理できる環境を用意する必要があります。現在では、一元管理する環境としてクラウドが多く使われます。クラウドサービスを利用したIoTシステムのプラットフォームとして利用するにあたり、クラウド上での分散処理技術やデータ処理技術を認識することが重要です。
また、より膨大なデータを高速処理することが求められるようになり、クラウドでは処理しきれないケースもでてきています。そこで解決策として注目を浴びているのが「エッジコンピューティング(edge computing)」や「フォグコンピューティング(fog computing)」で、これからはそういった技術も求められてきます。
④データ分析技術
クラウド上のサーバは、多種多様なセンサーデバイスから絶えずデータが届き、蓄積されていきます。これらの大量なデータから、傾向を分析したり、特徴を見つけ出したりすることが求められます。
大量なデータを効率的に、かつ効果的に利用するためには、ビッグデータ分析の技術が不可欠です。また、データの分析にあたっては、人間が探索的に特徴などを見つけるには限界があるため、機械学習などAI技術を活用し、コンピューターに分析や解析を実行させることが重要となるので、それに関連する技術も必要となります。
⑤セキュリティ技術
IoTシステムに限らず、私たちが日常的に利用しているシステムには必ずセキュリティ対策が施されています。IoTでは、多数のセンサーデバイスからインターネットを介してデータが送られてきますが、悪意のあるユーザからのデータをセンサーで収集したデータと認識することで、分析結果が誤り、異なった対応を実行してしまう危険性があります。そのため、データの送信元を確認するための承認技術などのセキュリティ技術が必要となります。
最後に
IoTの導入により、幅広い分野において業務改善や生産効率の向上などが期待できるので、これからも市場は大きくなっていくはずです。
その一方で、IoTは新しい分野であるため、インフラの構築にコストがかかる懸念もあり、またサイバー攻撃に対するセキュリティ対策も欠かせません。
これから、どれだけのスピードでIoTが市場に広まっていくか注目したいと思います。